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「オメェらさぁ、白浜が“何者”か知ってるか?」

嫌、お願いやめて、まだ知られたくない。

「白浜さんが“何者”かなんてぶっちゃけどうでもいいです。彼女は圧倒的善人でしょう。業務に支障がなければ別に何だって構いません。貴方は一体、彼女に何を求めているのですか」

少しだけ辛そうに立ち上がる亮くん。そして敵意とまではいかないけど、それに似たような目で担任を見つめている。会って間もないのに、なんでこの2人はわたしなんかの味方をしてくれるんだろう。

わたしの能力を知っても、この2人は離れていかないかな。

いや、こんな人殺しも同然なわたしは味方になってもらう権利も守ってもらう資格もない。

「では、ご覧くださぁ~い」

そう言うと折り畳み式のナイフをポケットから取り出して、躊躇することなくスパンッと自身の腕に切り込みを入れた担任からポタッポタッと流れ落ちていく血。わたしは腕を掴まれてそのままグッと引き寄せられながら強めに頬を掴まれて固定される。

「オメェの血、甘ぇらしいな?味見させろよ」

「っ!?」

なにが起きているのか、状況を把握するのに数秒かかった気がする。なんでわたしは、担任と唇を重ねているのだろう。逃げようとしても逃げれない、無理やり抉じ開けられた唇。

「んっ!?」

ガリッと舌を噛まれて口の中に血の味がジワリと広がる。

「何してんすか!!」

流星くんの焦った声が聞こえると同時にドンッ!と強く突き飛ばされて担任は後ろによろけた。

「貴方は一体何をしているんですか」

担任を突き飛ばしたのは流星くんではなく亮くんだったらしい。

「なぁに怒ってんの?オメェらデキてる感じィ?」

「私は貴方に何をしているのかと聞いているんです」

「おら、見てみろよ」