桜が舞い散る中、ひとりの女性を見つけた。
パッと見は少し派手で、私とは到底交わることはないとそう思った。どちらかと言えば苦手なタイプだろう。あの制服、S専の生徒ですか。最小限の関わりは持ちつつ程々の距離感で、それが無難でしょう。
強風が吹き、ギュッと強く目を瞑っている女性は今にも何処かへ飛んで行ってしまいそうだった。話しかけるつもりはなかった、それでも自分の意思とは関係なく体が勝手に動いて、気づいた時にはもう女性に声をかけていた。
「大丈夫ですか?」
そう声をかけると、ギュッと強く瞑っていた目蓋をゆっくりと上げながら私を見上げる女性と目が合った瞬間、呼吸を忘れた。この女性に目を奪われ、少し派手な見た目とは裏腹にとても可愛らしく美しい人だと、素直にそう思った。
だが、やはり私には無縁そうな人でしかない。人を見掛けで判断するのは良くはない。そうとは分かっていても、この女性はどうしても私が苦手そうなタイプだ。私とは正反対、真逆の人。
それなりの訳があってS専へ来ただけであって、人と馴れ合う為に来たわけではない。別に人と深く関わる必要なんてない。業務に支障がない程度に、しっかりとコミニュケーションを取れていれば問題はないだろう。
そう思い、自ら声をかけたのにも関わらず私はこの場を去ろうとした。すると、少しだけオドオドしながらも私を引き止めた女性。
正直、意外でしかなった。こういうタイプは遠慮なくズケズケと、無駄にベタベタとボディタッチをしてきて、こちらのことなんてお構い無しに絡んで来るとものだと思っていた。人を見た目で判断してはならない、私は深く反省すべきだな。
でも、少し苦手なのには変わりない。私には貴女みたいな女性の笑顔は眩しすぎる。きっと、生きてきた世界が違うのだろう。そして、これからも違うのだろう……そう思った。



