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くぅぅ!名字呼びかぁぁい!しかも“さん”付けかぁぁい!まぁでも、仕方ないか。亮くんみたいな少しお堅いタイプって、女子のこと名字呼びしかしなさそうだもんなー。

「うん。オッケー!ならそれで!」

「はい」

それから特に会話らしい会話はしていない。なんていうか、話が広がらないっていうかさ。『はい、そうですか、いいえ』的な返事しか返ってこない。これってわたし、もしかしなくても鬱陶しがられてる?そう思ったら話すのが急に怖くなって、喋るのをやめた。スマホを取り出してそっこう皐月先輩にメッセージを送る。

《皐月先輩!朗報です!同期にくっそイケメンがぁ!!》

すると、すぐ返事が送られてきた。

《ええ~?マジィ?拝みたーい(笑)もうS専に来てんの~?》

《そのイケメンと教室向かってま~す!あ、ちなみにネイルも可愛くしてきましたぁ♡(笑)》

《了解~。お、ネイルいいね~。あとでクズ共連れて教室行くわ~(笑)》

《クズ共て!(笑)了解で~す♡》

よしっと、早く皐月先輩に見てほしい。亮くんのイケメンさを!

「速いですね」

唐突にそう呟いた亮くんに驚いて体がビクンッと反応してしまった。

「あ、すみません。驚かすつもりはなかったのですが」

チラッと亮くんを見上げると、少し困ったような表情を浮かべてわたしを見下ろしていた。いや、もうかっこよすぎんのよ、きみ。

「いやいや、大袈裟に反応しちゃってごめんね?んーっと、なんだっけ。あ、『速いですね』ってなにが?」

「スマホ、文字打ちが速いなと思いまして。それだけです」

ちょっとだけ気まずそうな顔をしながら前を向いた亮くん。これってさ、もしかして喋らなくなったわたしに気を遣って自ら話を振ってくれたのかな?いや、なんというか、そういう気遣いも胸がキュンキュンするんですけど!?