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「暑くなーい?もう9月なのにヤバいよね」

上着を脱いでタンクトップ姿でS専内をうろつく白浜さん。透き通るような美しい肌、細いが綺麗に鍛えられた腕……何を言ってるんだ私は。そんな自分に呆れつつ眼鏡を押さえながら小さなため息を漏らした。

「暑かろうが関係ありません。体が冷えますよ」

私は上着を脱ぎ、それを白浜さんに羽織らせる。

「ありがとう、亮くん」

嬉しそうに可愛らしく微笑みながら私に礼を言う白浜さんが見たくて、強く注意できない。いや、厳密に言えば“できない”ではなく“しない”か。

「おーいオメェら、どーせ暇だろ?ちょいと体動かしたくねぇか?」

その声に私と白浜さんが後ろへ振り向くと、面倒事を押し付ける気でしかない羽田野先生がいた。露骨に嫌そうな顔して逃げようとする白浜さんを一旦引き止め、一応話を聞くことに。

「射撃訓練して筋トレもしたんでもう十分なんですけど、わたしは」

「近接格闘術訓練に持ってこいの任務が入ったんだよ」

「任務内容は」

「お、鳴海はやる気だね~。任務内容は反社と半グレがド派手にドンパチしてるらしく、それがまたお偉いさんの息子が絡んでるっぽいんだわ。ま、縁は切ってるらしいが面倒事は御免だよっつーことで、お偉いさんの生活区域から排除する、もしくは制圧して来いだとよ」

「いや、それって警察の仕事じゃないですか?なんでわたし達?」

「そりゃ反社と警察は持ちつ持たれつ~みたいなとこあんだろ?」

まあ、よくある話だが。S専は金を積まれればなんでも引き受ける節がる。護衛対象を守りながらの戦闘ではない分、難易度が格段に下がり氷室さん達をわざわざ出向かせるほどではないということ。