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「少しでも痛みを軽減させてなくては」

「あ、え……うん、ありがとう?」

普段の亮くんからは想像もつかないちょっとマヌケな行動に心がじんわりと温かくなる。可愛いとか言ったら怒られそうだからやめよ。

「白浜さん」

「ん?」

「白浜さん」

「うん?」

「白浜さん」

「うん、大丈夫だよ」

何度も何度もわたしを呼ぶ亮くん。そんな亮くんの大きな手も大きな体も少し震えてる。ごめんね、怖いよね。心配かけて本当にごめん。

それからわたしと倉田篤史は救急車で運ばれた。

「亮くんは倉田さんの付き添いお願いね?護衛対象だってこと忘れちゃダメだよ~」

「それは櫻井に任せてっ」

「もうわたしは大丈夫だから、ね?倉田さんきっと心細いと思うし、あんなことがあったから流星くんと亮くんでフォローしてあげて?お願い」

「……分かりました」

わたしは刺創の処置を受けて、処置中ザワザワしてたけどS専から圧力がかかったみたいで、わたしの治癒力については門外不出。

本来だったら入院が必要な怪我なのにわたしはそれが必要ない。ただ痛みに耐えなければいけないだけで、なんとか動けるし。まあ、ぶっちゃけ動きたくはないけど。死ぬほど痛いし。

「でっ、では……おっ、お大事に」

「すみません、ありがとうございました」

ビクビク怯えてた執刀医さんゴメンナサイ。

処置室から出ると流星くんと倉田篤史が椅子に座って待っていた。

「すみません、お待たせしました」

「だ、大丈夫なのか?」

「この通りピンピンしますよ」

「……悪かった、俺はどう償えばっ」

「これは全てわたしが犯したミスが招いた結果です。護衛対象を危険な目に遭わせてしまった、怖かったですよね。完全にわたしの落ち度です……本当に申し訳ございません」

「僕からも、本当に申し訳ございません」

一緒に頭を下げてくれた流星くん。『ごめん、ありがとう』の言葉しか出てこない。