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「うぎゃあっ!?」

しかも可愛い声なんてものは全く出なかった。せめて可愛い声であれ、わたしよ。ていうかさ、転ぶ時って妙にスローモーションにならない?なんでだろう。とっても不思議だよね。せめて顔面崩壊だけは避けたい。どうか無事であってくれ、わたしの顔面。

すると、お腹に手が回ってきてグッと力強く支えられた。

「危なっかしい人ですね」

「ごっ、ごめん!あ、ありありあり、ありがとう!」

噛みすぎてツラい、めちゃくちゃ恥ずかしい無理。黒髪男子は何事もなかったかのように歩き始めた。黒髪男子の後ろをげんなりしながら……いや、ゾンビのように歩くわたし。って、こんな些細なことで凹んでたらこの先やっていけない。ちょこちょこっと、さりげなく黒髪男子の隣へ戻った。

「あ、てかさ!自己紹介してなくない?わたし白浜千帆(しらはまちほ)。よろしくね!」

「鳴海亮(なるみりょう)です。よろしくお願いします」

わたしをチラリと見て再び前を向く黒髪男子、いや鳴海亮くん。う~ん、鳴海亮かぁ。名前までかっこいいとか反則でしょ、もうイエローカードだよ。

「えっと、なんて呼べばいい?」

「お好きなようにどうぞ」

お好きなようにって、いきなり下の名前で呼ぶのって引かれちゃうかな?いや、ここはガツンッといっちゃおう!!

「亮くんって呼んでもいい?」

「ええ、まあ。貴女の呼びやすいように呼んでください」

「へへっ。ありがとーう!なら、亮くんで!わたしのことは亮くんが呼びやすいように呼んでくれていいよ~」

「そうですか。では、白浜さんで」