ヴァンパイアくんに愛されるのは危険すぎる!

「きゅ、吸血してないんだったらそりゃ……?」

「へぇ、そう。弥虎たちにもそんな甘い提案するんだ。」

「つ、司君? どうし――……」

 鋭い声色でそんな事を言われたかと思った、その瞬間。

「んなっ……!? 司君!?」

「嫌だよ。暁が俺以外に吸血させるなんて、許したくない。」

「へ!?」

 ふわりと、壊れ物を扱うように触れられ抱きしめられる。

 突然すぎて驚き胸板を押してみるも、力が強いのかびくともしない。

 な、何で抱きしめてるの……!

 そう問いたいところだけど、私を抱きしめている腕が小刻みに震えているのが分かった。

 まるで何かに怯えてるみたいな、不安定な抱きしめ方。

「……もう、失いたくないのに。」

 それに、こんな事言われたら突き放せないよ。

 きっとこれは望さんのことだろう。確証はないけど勘で察する。

 司君って頼りになるし頭の回転も早いし勘だって鋭いのに、こんなに弱いんだ。

 初めて弱気になっている司君を前にして、可愛いな……なんて思ってしまう。