ヴァンパイアくんに愛されるのは危険すぎる!

 ……そんな事ないよって言いたい。

 だけど私はただのハンターで人間で、多少知識はあれどもヴァンパイアじゃない。無責任な事は絶対言っちゃダメだ。

 実際、吸血すると能力は一時的に底上げされる。司君の持つ、相手の動きを止める能力も簡単に突破できなくなるくらいには。

 それだけならきっと良かった。でも司君の言うように……吸血して能力の制御が難しくなるのも、また事実。

 強化された能力を上手く扱ったり制御できるようにする施設はあれど、日常生活で能力なんて使わないから扱えないヴァンパイアが大半。

 能力の制御がままならず逮捕対象になったヴァンパイアを私も見てきた。だから他人事だと思えない。

 ……でも、それは吸血“しすぎて”なる現象だ。

「じゃあ、練習しようよ! 私、司君の練習台になるからっ!」

「は……? 暁、何言って――」

「司君の言う通り、吸血したら勝手に能力が発動されるかもしれない。でも、量を調整すれば大丈夫だよ!」

 ガタッと音が鳴るくらい勢いよく立ち上がった私に、司君は何度も瞬きする。