ヴァンパイアくんに愛されるのは危険すぎる!

「……それってもしかして、乙華?」

「せいかーい! 僕のお父さんと乙華ちゃんのお父さんってどっちも社長だから仲が良くって、連絡先だけ持ってたんだよね。僕はあの時校内にいたし、連絡がなかったら行けてなかったよ。」

 乙華、が……?

 大人びた表情でにこっと微笑む弥虎君に教えられ、持っていたスマホに視線を下げる。

「ごめんみんなっ、乙華に会ってくる……!」

 スマホだけ握りしめ、みんなの反応も見ず私は部屋から飛び出した。

 校内でスマホの使用がバレたら面倒だから、近くのトイレに入りできるだけ物音を立てずにかける。

 まだ校内にいたら出ないかもな……なんて焦りながら、長い着信音を耳にする。

《……暁? どうしたの、急に電話なんか。》

 留守電に切り替わるんじゃないかヒヤヒヤしながらも、直後スマホから乙華の声が聞こえた。

 よかった、出てくれた……。そう安堵しながら、私は噛みつくように居場所を尋ねる。

「乙華、今どこにいるの?」

《え? い、今はえっと……裏庭に……》

「分かった! 今から行くから待ってて!」