ヴァンパイアくんに愛されるのは危険すぎる!

 弥虎、くん……?

 思わず、本当に弥虎くんなのか怪しく感じる。

 ……弥虎君って、こんな人だったっけ……?

 目の前で睨みを利かせている弥虎君に圧倒されていると、彼女たちはヤバいと悟ったのか一歩後ずさる。

「あれ? もしかして逃げるの? それならちゃんと暁ちゃんに謝ってからにして。」

「……ご、ごめん、なさ……」

「声が小さい。」

「「「ご、ごめんなさい……!!!」」」

 弥虎君の威圧と空気に耐えられなくなったのか、彼女たちは精一杯振り絞った声で謝ってから寮に消えていった。

 ……その瞬間、全身から力が抜けて地面に座り込んでしまう。

「暁ちゃんごめんねっ、すぐ助けにこれなくて……っ!」

「やとら、くん……」

 放心状態の私に弥虎君は軽く抱きしめてくれて、頭も撫でてくれる。

 こうして撫でてもらっていると、さっきの弥虎君は夢だったのかな……なんて思ってしまった。

 でもほっとした感情や弥虎君の優しさはちゃんと存在してて、ぽろっと1粒だけ涙が零れる。

 それがバレないように唇を噛み締めていると、遠くから司君たちの声が飛んできた。