ヴァンパイアくんに愛されるのは危険すぎる!

 そして……次の瞬間、前触れもなくパンッ!と乾いた音と共に頬に激痛が走った。

「っ……!?」

「本当はこんなすぐ手をあげるつもりじゃなかったのだけど……あなたを見ていると無性に腹が立ってしまって。でも当然よね、聖城さんが壬生君たちに引っ付いてるのが悪いんだもの。」

 淡々と、けどしっかり敵意が見える言葉でにじり寄ってくる彼女。

 取り巻きの2人は静観していたけど、彼女の言葉が引き金になったのか同じように詰め寄ってきた。

「壬生君たちはみんなのものよ! 外部受験でぽっと出のくせに、壬生君たちを独り占めなんて許さない!」

「だからしつこく忠告してたのに、全然聞かないあなたが悪いわ! 手を上げられても文句は言えないはず!」

「二人とも落ち着いて、あまりヒートアップしてはこちらが悪者みたいじゃない。……でもね聖城さん、これはあなたの為でもあるの。このまま壬生君たちに引っ付いて敵意を向けられるか、壬生君たちから離れて榊原さんと嫌われ者同士仲良く過ごすか。どちらか選ばせてあげる。」

 アハハッと高笑いするかのように言った彼女の言葉は、正しいのかもしれない。