ヴァンパイアくんに愛されるのは危険すぎる!

 この時はそう思う事にして、考えないように単語帳を引っ張り出す

 でも……こんなに悠長でいたのが、間違いだったのかもしれない。

「わっ!?」

「どうしたの暁?」

「……っ、ううん何でもない! 目に髪が入ってびっくりしちゃっただけ。」

 それ以来、いじめ紛いなものを受ける事になってしまった。

 最初は下駄箱に悪口やこそこそ話、机の中に無造作に紙が入れられているだけだった。

 時々配布物が破られていた事もあったけど、気のせいなのかなって知らないふりをした。

「あれ? 体操服が……」

「暁? 早く着替えないと遅れちゃうわ! ……何かあったの?」

「い、いやっ、今日体操服忘れちゃったみたいで……っ。見学しなきゃなぁ〜。」

 でも、体操服を隠された辺りから段々と心臓が苦しくなってきて。

 乙華に心配かけまいとはぐらかして乗り切っているも、自分の気持ちにまで嘘は吐けない。

 ……ううん、弱気になっちゃダメだ。こんなの大した事じゃない。

 テスト3日前にはついにそう言い聞かせるようになり、作り笑いを浮かべる事が格段に増えていた。