ヴァンパイアくんに愛されるのは危険すぎる!

 ハラハラといくつか千切られた紙が足元に落ちてきて、その一枚を手に取る。

 ……なるほど、そういう事か。

 そこには《一般人のくせに壬生君たちに近付くな!》や《さっさと壬生君たちから離れて!》というマーカーでの殴り書き、そして短い悪口がいくつも書かれていて、一瞬呆気にとられたけどすぐ拾う。

 とりあえず全部処分しなきゃ。誰かが見て勘違いしちゃダメだもんね。

 独り言のように口の中で呟きながら、急いで紙を集めてスクールバッグに突っ込む。紙は帰ってから処分しよう。

 そうして今度こそ靴を履き替え、何事もなかったかのように教室へと向かっていると。

「聖城さんってずるいよね、壬生君たち独り占めして。」

「うんうん、それに外部受験なんでしょ? 壬生君たちのこと何にも知らないのに傍にいて……何様なんだろうね?」

 時々すれ違いざまに私にしか聞こえない声量で悪口を呟かれたり、わざと大きな声で名前を言われたりしているのが分かった。

 これが典型的な嫌がらせ……ううん、決めつけは良くないよね。違ったら申し訳ないし、気にしないでおこう。