ヴァンパイアくんに愛されるのは危険すぎる!

「……っ。」

 あれから、何故か司君を意識してしまっている自分がいる。

 でも仕方がないよね。あっちからしたら傷の治癒かもしれないけど、こっちからしたら人生初のキス……なんだもん。

 今回も例に漏れず、咄嗟に視線を逸らして司君を避けてしまう。

「暁、そこの代入ズレてるよ。」

「えっ、あ、ありがとう……。」

 だけど司君は気に留めてないようで、いつものように仄暗い笑顔で指摘してくれた。

 それを急いで修正し、次の課題へと取り掛かる。

 ……私も、気にしないほうがいいよね。だって司君にとってああいう行為は、善意なんだから。



 中学生になってから最初のテストまで、残り1週間。

 勉強は順調……とまでいかないけど、みんなのおかげで結構できるようになった気がする。

 国語はもう完璧だし、英語はケアレスミスさえなければ高得点を狙えるはず。社会はちょっと微妙だけど。

 また地理得意な蘭君に教えてもらおうかな……そう考えながら、上靴に履き替えようと下駄箱を開けた瞬間。

「え……何これ……」