ヴァンパイアくんに愛されるのは危険すぎる!

 チクタク、チクタク……と静かに秒針が進む音が木霊する教室内は、絶賛数学の小テスト中。

 周りは黙々と解いている中、私は文字通り頭を抱えていた。

 どうしよう……全く分からない。

 理数系ができないのは重々承知だし予習復習しない自分が悪いんだけど、それにしても難しすぎない!? 絶対中1で習う内容じゃないのもちらほらあるし!

 数学だから勘や運に頼る問題なんて数えるほどしかなく、いっその事諦めようと考えてしまう。

 は、半分埋めてるしいいよね……!なんて自身を正当化させながら、今日の夜ご飯どうしようかなぁと現実逃避した。

 だけどその中で、先日の“あれ”がふと脳裏に浮かんでくる。

『そこまで行くだけだったら、何でこんな切り傷あるの?』

 ……つ、司君はただ怪我を治してくれただけだもんね。そこに他意なんてない、うん。

 未だ覚えている唇の感触を思い出し、意図せず顔に熱が集中する。

 あの時は司君の様子が変だったから気にする余裕なかったけど、初めてキスとかされちゃった……。