ヴァンパイアくんに愛されるのは危険すぎる!

 さっさと俺がやられればよかったのに、望さんは体がボロボロになって出血が止まらなくなっても守ってくれた。

 でも、俺と違って望さんは人間。限界だって俺より早く来るし、怪我の再生も遅い。

 望さんが倒れるのは、時間の問題だった。

『……望さん? 嫌、違う、こんなの絶対……』

 それからの記憶は、ほとんどない。

 怒りに任せて使えた能力全てを使い相手に反抗して、最終的に暴走が止まらなくなったそうだ。

 けど……その暴走を必死に抑えようとしてくれた望さんに、致命傷の怪我を負わせてしまった。

 その事実は俺と望さんと数人しか知らないから大々的に世に出回る事にはならなかったけど、今でも深い溝のように脳裏にこびりついている。

 だから、暁が次の監視役だって気付いた時……心臓が震えた。

 あんなか弱い女の子を、望さんのような目に遭わせるわけにはいかない。

 例えあっちが仕事だからと言って近付こうとしてきても、距離を取るつもりだった。

『……司ぁ、俺もうダメかもしんねぇからさ……次の監視役来たら、ちゃんと仲良くするんだぞ……お前らって外面だけいいから、すぐ気持ち殺すからさぁ……』