ヴァンパイアくんに愛されるのは危険すぎる!

 両親も純血のヴァンパイアだから、ヴァンパイアである事は否定しない。でも前世の記憶なんてないし、法を破ろうと考えた事も毛頭ない。

 ただDNAが一致しているからって、勝手に犯罪者にされる気分は心底気持ち悪い。

 だけど俺には身寄りもなく吐き出し口もなかった。

 周りは好き勝手俺を持ち上げるし、良くも悪くも人が集まる。弱い姿なんて見せられないから、自然と一人で自身を責めるしか道がなかった。

 どうして俺は存在してるんだろう、生まれてきたんだろう、ヴァンパイアとして生きているんだろう。

 考えたらキリがなくて、衝動的に死んでしまおうかとも思っていた。

『あ、いたいた! 監視対象のヴァンパイアの最後みっけ!』

 ――でも、生きている自信がなかった俺を引っ張り上げた人がいた。

 それが、小4の春の終わりにヴァンパイア対策委員会から派遣された望さんだった。

 ヴァンパイアである俺たちを探して見つけ出し、放課後に中等部校舎の古い部屋に集めた望さん。

 俺以外に集められた3人も委員会から危険視されていて、これから思春期に入り暴走する可能性のある俺たちを監視する為にやってきた……と望さんは言った。