ヴァンパイアくんに愛されるのは危険すぎる!

 沈んできた夕日と散歩しながら、このやり場のない気持ちをどこに仕舞おうかと苦悩する。

 だけど、すぐ近くからかけられた声によってハッと我に返った。

「暁、おかえり。」

「っ!? ……びっくりしたぁ、なんだ司君かぁ。」

「驚かせるつもりなんてなかったけど……まぁいっか。どこ行ってたの?」

「えーっと……ちょっとそこまで?」

「そこまで行くだけだったら、何でこんな切り傷あるのかな?」

「傷?」

 前庭で暇を持て余していた司君から指摘され、やっと自分の体の痛みに気付いた。

 ほ、本当だ……確かに腕とか手の甲とか切り傷がいっぱいある。そういえばさっき一本背負いした時に、小石がたくさんあったから掠ったのかも。

 だけど一つ一つは大きくないから、後で絆創膏だけ貼っておこう。

「全然気付かなかった……教えてくれてありがとう。」

「こんなのでお礼なんていらないよ。ハンターの仕事をしに行ってたんでしょ?」

「……全部お見通しなんだね。」

「暁から俺たち以外のヴァンパイアの気配がしたからね。俺じゃなくても分かったと思うよ。」