ヴァンパイアくんに愛されるのは危険すぎる!

 でも、このまま追いかけていても埒が明かない。
 
 走りながらそう感じた私は、ここの地形を活かし塀を利用して先回りする事に。

 ……よし、ここだ!

 ピーッ!!

「な、何だっ、何の音だ……ッ!」

 地区内に響き渡るよう思いっきり警笛を鳴らし、他ハンターに場所を知らせると共に犯人を動揺させる。

 その隙に一発だけみぞおちに拳を入れて、素早く手錠をかけた。

 そして一本背負いをし地面に縫い付けると、犯人は暴れながら悔しそうに唸っていた。

「クソッ、お前ハンターか……ッ! 邪魔しやがって!!」

「元々はあなたが悪いんでしょ、ヴァンパイアの身体能力は大したものだけどこういう事に使うものじゃない。」

「お前みたいなちんちくりんに何が分かるっ! 元はといえばあっちが俺のことを馬鹿にしてきたのに……っ!」

「だからと言って、手を出せば立場が悪くのはあなたのほう。」

 でも実際、こういう動機のヴァンパイアは多い。

 我慢していても一度手を出してしまえば歯止めが利かず、ヴァンパイア特有の身体能力で完全犯罪をしようとする者もいる。