ヴァンパイアくんに愛されるのは危険すぎる!

 そう思いながら、部屋の中でぐーっと体を伸ばした時だった。

 ――ジリリリッ、ジリリリッ

 一瞬にしてけたたましい音が部屋中に広がった後、無機質な合成音声が響く。

《M市T区内、私立有明学園近くでヴァンパイアが傷害、窃盗をし逃亡。近くのヴァンパイアハンターは直ちに逮捕へ向かってください。繰り返します――……》

 音声源は机上にあるトランシーバーからで、それを一旦止めて部屋を飛び出す。

 久々に本来の仕事をするなぁ……体、鈍ってないといいけど。

 頭の隅で考えつつ、警察が持っているような手帳や手錠、警笛があるか確認しながら、ヴァンパイアにしか効果のない十字架を模した銃を腰から下げる。

 傷害と窃盗をした上で逃走しているなら、早く捕まえないと二次被害が出る。

 トランシーバーで情報を貰いながら走り、他のハンターにも応援を要請。

「いたっ……!」

 連絡を済ませた直後、T字路を横切った姿が見える。特徴も一致してるようで、窃盗した先でカラーボールを投げられたのか発光色が背中に付着していた。