ヴァンパイアくんに愛されるのは危険すぎる!

 えっ、そうだったの……?

 遠慮なく腕を組んでくる鳳弥虎を振り払うよりも先に、素っ頓狂な声が零れ落ちる。

「あぁ、それは昨日俺が夢を見てたからだと思う。だからそっちに意識が行っちゃって、能力の効果が弱まってたんだろうね。」

「なるほどーっ! それじゃあよっぽど深く寝てたんだねー、つーくんっていっつも頑張ってるから仕方ないよ!」

 私も思わず、同じようにへぇ……と納得する。そういう事できるヴァンパイアもいるんだ。

 また一つ賢くなったかも、そう考えながら今度こそ壬生司に話を振られる。

「まずは……そうだな。聖城さん、俺たちと取り引きする気はない?」
 
「取り引き……?」

「そう、取り引き。聖城さんは、前の監視役と違って俺たちをちゃんと監視対象だと思ってる。それにハンターだって周りにバレたくない。それってさ、人間相手にもバレたくない感じなのかなって思って。」

「……エスパーか何か?」

「ただのヴァンパイアだよ。」

 キラキラのエフェクトが周りに舞ってそうな彼に胸中を言い当てられ、返す言葉がなくなる。