ヴァンパイアくんに愛されるのは危険すぎる!

 ……こうして見てると、彼は普通の男子中学生だ。

 一瞬そう感じたけど、乙華から聞いたあの事件があるから単純に思うのは危険。

 人が引く様子のない前庭をぼーっと見ながら、私は少し目を細める。

 ……差別なんて、ないほうが絶対いいのに。

 キーンコーンカーンコーン……

「あれっ、もう予鈴!? ごめん、私そろそろ戻らなきゃ……!」

 ふと暗い考えに行きそうになった私を予鈴が引っ張り上げ、一瞬にして現実に戻される。

 乙華って極度の寂しがり屋な気がするから、早く教室行かないと。

 「遅いーっ!」と乙華が怒る姿を想像しながら、壬生司に背を向ける。

 ――すると前触れもなく、爆弾が落とされた。

「うん、話に付き合ってくれてありがとう。ヴァンパイアハンターさん。」

「ぬぇっ!?」

「違った?」

 いや、違わないけども……!

 おどけた調子でクスクス微笑んでいる壬生司は、嘘を吐いてるわけではなさそう。

 でも否定しなきゃっ! 私には春くんとの約束が……!

「ち、違う! 私がハンターなんて、そんなわけ――」