ヴァンパイアくんに愛されるのは危険すぎる!

「いや、そういうわけにはいかないよ。本当に昨日はありがとう、君が起こしてくれなかったらずっと嫌な悪夢を見続けていたと思うから。」

「……それならよかったよ。」

 ……、会話が終わってしまった。

 自分がコミュニケーション下手なのは分かっている。それでもこんなに会話が続かないのは、演技も下手なのかもしれない。

 壬生司は私が演技しているのを知ってか知らずか、見定めてくるような視線を向けている。彼も不用意に話すつもりはないのか、何とも言えない沈黙ばかりが広がった。

「今日もみんなかっこいいーっ!」

 その沈黙を破ったのは、昨日も耳にした黄色い歓声。

 とうとう気まずさが限界値に達した私は、気を紛らわせる為に窓下を見つめる事に。

 4階だと言うのにここまで聞こえて言葉もはっきり分かるって、相当大きな声を出してるんだなぁ……私にはできない芸当だ。

 リプレイを見ているのかってくらいの人だかりに、持て囃されている例のヴァンパイア3人組。

 表情までは見えないけど鬱陶しそうにしておらず、慣れっこなのだろうと憶測を立てる。