ヴァンパイアくんに愛されるのは危険すぎる!

 何だか嫌な予感がするなぁと思いつつ振り返ると、壬生司が見定めるように私を見つめていた。

 まるで何かを企んでいるようで、この嫌な予感は伊達じゃないかも……そう思う。

 ……――ガチャッ

「つーくんただいまーっ!」

 その一瞬の出来事だった。

 突如重たく硬い扉が無造作に開けられ、陽気な声が部屋中に響く。

 ……もしかしてこの声って。

 冷や汗が頬を伝ったのが分かり、恐る恐る背後に視線を動かす。

 そこには案の定、私が探していた監視対象のヴァンパイアが立っていた。

 しかも1人じゃない、鳳弥虎、高峰朝翔、城地蘭の3人。

 ……これはちょっと展開が早すぎる。

 まさかこんなところに監視対象が揃うと思わず、気を抜くと変な声が出そう。

 本当ならここで色々情報をそれとなく尋ねて調査をしたほうがいいんだろう……けど!

「し、失礼しましたっ……!」

 あまりの急展開に理解が追いつかず、今の状態で話すと自爆しそうで頭を下げて早急にその場から逃げる。

 この情けない戦果を聞いた春くんは、間違いなく怒ってくるだろう。

 でも私からすれば、4人の大体の情報と接触しただけで大きな戦果なんだ……!

 夕日色に染まる廊下を走りつつ、私は自己肯定感を上げる為にずっとそう呟いていた。