ヴァンパイアくんに愛されるのは危険すぎる!

 ……どうしよう。勝手に入るのは流石にダメだよね?

 硬い扉を目の前に数秒考え込み……そして私は突撃する事に。

 不法侵入じゃない、これはれっきとした人助け!

 未だ途切れ途切れで聞こえる唸り声を耳にしながら、力任せに扉を開ける。

「え? 何でこんなところに……」

 すると真っ先に視界に映ったのは、夕焼けが差し込む大きな窓にもたれかかって苦しそうに顔を歪めている壬生司だった。

 口からは先程から聞こえている唸り声や謝罪の声が洩れていて、咄嗟にカーテンを閉める。

 強い光はヴァンパイアにとって毒。おそらく、長い時間夕焼けに照らされていたから悪夢か何かを見ているんだろう。

「ごめん、なさい……っ……」

 それでも落ち着かなさそうな壬生司。呼吸はさっきよりマシだけど、相当厄介な悪夢なのかも。

 このままほっといてもいいんだけど、うなされている人をそのままにして帰るほど私は薄情じゃない。

 だから――。

「起きないと血あげないよ。」

「っ!」

 私が一言口にすると、間髪入れずに飛び起きた彼。結構効いているらしい。