ヴァンパイアくんに愛されるのは危険すぎる!

「……ぅ、ん……」

 今、何か聞こえた……?

 第3校舎の4階、どこかから唸り声のようなものが聞こえた気がして耳を澄ませてみる。

「ごめん、なさ……」

 すると再び、今度ははっきりと声が聞こえてそれを辿ってみる。

 結果辿り着いたのは、意識しないと見つからないところにある空き部屋の荒んだ扉。

 え、こんなところに人がいるなんて思えないんだけど……。

 一度はそう思って間違ったのかと戸惑うけど、声は間違いなくここから聞こえてきている。

 ……幽霊とかじゃないよね。

 人一倍ビビりなのに、つい恐ろしい事を考えてしまって急いで首を左右に振る。

 ううん、幽霊なんて存在しない。春くんだってそう言ってたし、ちゃんと人だと思う。

 言い聞かせるよう一心不乱にそんな考えを反芻して、ノックしつつ声をかけてみた。

「あのー……大丈夫ですか?」

 だけど返事はない。そもそもこの扉自体が頑丈そうで、声が届いてるのかも分からない。

 意を決してもう一度だけ声をかけたけど、やはり返事はなく。