ヴァンパイアくんに愛されるのは危険すぎる!

 私に何かができるかなんて思ってない。春君を精一杯止めても、きっと地獄の果てまで追いかけるだろう。

 ……でも、何かできないのかな。



「それじゃあ暁、また明日! 明日もいっぱいお話しましょうね!」

「うん、また明日。気を付けて帰ってねっ。」

 すっかり話し込んでしまった夕方、昇降口でいっぱい話せてご満悦な乙華の背中を見送る。

 そして乙華が校門を過ぎたあたりで、人知れずため息を吐き出した。

 ……よし、監視対象を探しに行こう!

 こんな放課後に校舎内にいるとは思えないけど、このまま帰るのは私の気が済まない。

 乙華が物知りで良かった、クラスも聞けたし見つかる効率も上がった気がする。

 呑気に考えながらとりあえず歩いて、教室まで向かってみる。

 ……それにしても静かだなぁ、ここまで来るとちょっと怖いかも。

 放課後の校舎は閑散としていて、ほとんどの生徒は下校している様子。

 聞こえるのは隣の敷地内で遊んでいる小学生の声と、気の抜けたカラスの鳴き声ばかり。

 もう帰ったのかもしれない……そう思い始めた時だった。