ヴァンパイアくんに愛されるのは危険すぎる！

　そうは言っても油断禁物だし、可愛い顔してるからって無害だと思い込んじゃダメだろうけど。

　話を聞きつつそう考えて、次は高峰朝翔のことを尋ねる事にした。

「高峰君は良くも悪くも初等部の頃から無口で笑わなくて、リアクションをしないから一部から、“彫刻”なんてあだ名で呼ばれたわ。でも初等部四年生の頃に、高峰くんが一人の女子と揉めた事があったって聞いたの。その子、当時の高峰君の吸血パートナーだったらしいから、噛み合わないところがあったんだと思うのよね。」

「小四で吸血パートナーいたんだ……すごいね。」

「まぁ高峰君の家は結構な権力者でしきたりを大事にする家だったから、パートナーの子の気持ちなんて無視した関係だったそうよ。」

　もう過去の事だけど、と何でもないように言う乙華と違い、私は高峰朝翔のパートナーについて思いを馳せる。

　吸血パートナーとは、ヴァンパイアが安定して血を摂取できるように生涯を共にする相性の良い相手。

　そのパートナーから結婚する人が多く、ヴァンパイアの血が途絶える事はないに等しい。