ヴァンパイアくんに愛されるのは危険すぎる!

 理由はそれぞれだろうけど、大体『ヴァンパイア差別をされたくない』というのが主な理由。

 ヴァンパイアは生まれつき人間より五感が鋭く、身体能力や知能も高めと言われている。

 故に『ヴァンパイアのくせに』『ヴァンパイアなんて……』と否定的な態度を取られてしまう事もある。

 だから監視対象たちも隠しているのかと思ってたけど、そういうわけでもないみたい。

 うーんと考え込む私に、またもや退屈になった乙華が不思議そうに口を開く。

「もしかして暁、あのヴァンパイアたちのことあまり知らないの? なら、初等部の頃にあった話とか聞く?」

「え!? 教えてくれるの!?」

「暁が聞きたいって言うならいくらでも話すわ。」

「ぜひともお願いします……!」

 思いもよらなかったありがたい乙華の言葉に乗るように、勢いよく頭を下げる。

 実は気になっていた事があって、それが“以前の監視役が誰なのか”だった。

 対策委員会公認で危険視されているなら初等部の頃にも監視役はいたはずだけど、それが誰なのかはお父さんに聞いても教えてもらえなかった。