ヴァンパイアくんに愛されるのは危険すぎる!

 しばらく歓声を聞きながら様子を伺っていると、乙華が呆れたように机に伏せていた。

「い、乙華? 大丈夫?」

「……相変わらず騒々しいわね。これじゃあゆっくりお話もできないじゃないの。」

 言いながら乙華は耳を塞いで、行ってしまったギャラリーに鋭い視線を向ける。

 そんな乙華をよしよしと撫でて慰めながら、素朴な疑問を投げかけた。

「乙華はあの人たちのこと好きじゃないの?」

「好きでも嫌いでもないわ。まぁ関わるつもりもないし、ましてやヴァンパイアなんだもの。好んで近付きたくないのよ。」

 撫でて少しはマシになった機嫌で、乙華はそう教えてくれる。

 ……でもその中に、ちょっと引っかかる言葉があった。

「あれ? 乙華ってあの人たちがヴァンパイアって知ってたの?」

「えぇ、もちろん。あの人たち人間離れしてるし、有明に入学した頃に本人に尋ねた人がいたからみんな知ってるわ。」

 そうだったんだ……私、てっきり隠してるものかと。

 この国に住むヴァンパイアは大抵ヴァンパイアである事を周りに隠し、一般人として生活する事が多い。