ヴァンパイアくんに愛されるのは危険すぎる!

 やっぱり朝翔君の教室だったんだ……という事は、揉め事に巻き込まれてるの、かな。

 でもさっき告白とか言ってたし、単なる揉め事でもない気がする。

 そうは思うもどんな状況なのか私も興味があったから、目だけを覗かせて様子を窺う。

 ……だけどそれと同時に、2人の女子に詰められていた朝翔君とバッチリ目が合った。

 そして、何故かこちらに近付いてきて教室の扉を開けると。

「もうこの際言うけど、俺の好きな人は暁だよ。だから、告白されても断るしかない。」

「朝翔君!?」

 何を言ってるの……!?

 私を軽く抱き寄せてそう口にした朝翔君は、極めて涼しい顔をしている。

 唐突にそんな事を言われた私に恥じらいはなく、ただ驚く事しかできない。乙華や詰め寄っていた子たちもそうで、開いた口が塞がらないという感じ。

 そんな感じで頭の中が大混乱な私に、朝翔君はこそっと耳打ちをした。

「巻き込んでごめん。でもこのまま一緒に逃げてほしい……お願い。」

 朝翔君の切羽詰まった声色に、二悶着くらいありそうだな……と苦笑いが零れる。