ヴァンパイアくんに愛されるのは危険すぎる！

「暁ってば物知りなのね！　そう、わたくしのお父様たちはお洋服を作ってるのよ！　知ってくれてるなんて嬉しいわ！」

　声高く教えてくれる乙華に、心の中でやっぱりと頷く。

　SAKAKIブランドは世界的に有名な衣服ブランドで、私たちヴァンパイアハンターの制服もSAKAKIブランドに特注して作ってもらっていたはず。

　だから乙華の名字に聞き覚えあったんだ、と納得しているとつまらなくなったのか乙華がまた膨れだした。

「暁、何か面白い話ない？」

「えー……私に言われても、何もないよ？」

「うーん、どこかに面白い話って落ちてないかしら〜？」

　そう、乙華が暇そうに頬杖をついた直後だった。

「あれ!?　あそこにいるのって蘭君じゃない!?」

「待って、弥虎君と朝翔君もこっち来てるよ！　緊張してきたっ！」

「あの3人顔面良すぎねぇ？　これじゃあ負け確じゃねぇか……。」

　一瞬にして黄色い歓声が広がったと思えば、段々とこっちに近付いてくるように声も大きくなっていく。

　その原因は今朝の人だかりと一緒のようで、監視対象たちの顔の良さのせいらしい。