ヴァンパイアくんに愛されるのは危険すぎる!

 春君にあんな反抗したのは初めてだった。

 これまでは春くんが歳上だから、私よりも経験があるから。そんな理由で春君の言う事やる事が正解なんだって思って頼っていた。

 でも監視対象のみんなと一緒にいる内に、それだけが正義じゃないって知った。

 正義の形は一つじゃない。私には私の、春君には春君の正義がある。

 そして、正義同士がぶつかったら反発してしまう……って事も。

 そう考えたら対策委員会の正義も……正義じゃなくって、エゴなのかなって思い始めた。

 表向きは平和に過ごせるように、安心して生活できるように共存を目指している。

 だけど……時に委員会は冷酷にヴァンパイアを扱う。まるで物のように。

 それなら将来的に、私はハンターとしてやっていけない。

「……連絡は、ないか。」

 ああ言って飛び出してから、春君からの連絡はない。私が送った謝罪も既読だけ。

 もう知らないって思ってるのか、好きにすればいいって許してくれたのか……検討もつかない。

 ……ううん、気にしないでいよう。私は私がやりたい事をやればいい、誰かに縛られる必要はない。