ヴァンパイアくんに愛されるのは危険すぎる!

「それとこれとは話が別だろ。」

「……確かにそうかも。春君が心配するのも嫌なのも、分かるよ。」

「ならどうして――」

「やってみなくちゃ分からないからだよ。」

 春君の言葉に、座右の銘を被せる。何事もやってみなくちゃ分からない。

 ヴァンパイアを敵だって思ったまま過ごすのは、半分くらい体に染み付いてしまっている。

 でも全員を敵と思えなんて無理な話で、私は春君みたいに完璧じゃないからそうできない。

 それなら……いっそ仲良くしてみたらいいんじゃないかって思ったんだ。

 もしみんなが、委員会に言われているように危険なら私が責任を持って委員会に報告する。

 みんなが問題視されるような事をしなければ、普通の友達として生活していける。その未来を『仕事だから』で奪いたくない。

 みんなには……辛い思いをした分、楽しく生きてほしいから。

 だけど敢えてそれは言わず、春君が呆然としている内にその場から逃げ出す。

 これが正解とは言わない。だって、もっといい説得方法はあったはずだから。