ヴァンパイアくんに愛されるのは危険すぎる!

「……春君、まだかな。」

 今日がその日だから、春君を誰もいない第3校舎の一室で待っていた。

 暇を持て余していた私は、以前春君が座っていたように机に座ってみる。

 でも足が短いからか上手く座れず、行儀も悪いから断念した。

 こんなところで身長差を感じるとは思わなかった……春君ってまだ中2なのに高校生くらい大きいし、仕方ないんだけど。

 そう、羨ましさからのため息を吐いた直後。

「こんな早朝に呼び出して、とうとうヘマでもしたのか?」

「んわっ!」

 まだ眠たそうな低い声が背後から聞こえ、思わず大きい声を上げてしまう。

 振り返るとそこには気持ち瞬きが多いような春君が立っていて、寝起きで目つきが良くない。

 春君って元々三白眼だから目つき悪く見られやすいし、細めてると余計に拍車がかかってる……。

 なんて思いながら「ヘマなんてしてないよ。」と返して、これ以上春君の機嫌を損ねるわけには行かなくて単刀直入に切り出した。

「ごめんね、こんな朝早くに呼び出して。でも春君に伝えたい事があるんだ。」