ヴァンパイアくんに愛されるのは危険すぎる!

 その言葉に大きく頷き、胸中で自分の勉強不足を反省する。

 ヒートブラッド病の恐ろしさは勉強してたつもりだったけど、全然できてなかったな。蘭君、一人にしちゃって大丈夫だったかな……。

 扉の向こうで休んでいる蘭君の体調を案じつつ、私は司君に向き直る。

「……こんな事司君から聞く事じゃないんだろうけど……蘭君って、ご両親がいないの?」

「確かに俺に聞く事じゃないね。俺だって詳しい事は知らないし、そもそも蘭が話したがらないからどうしようもないよ。」

 眉の端を下げて苦笑する司君に、「そっか……」と落胆の声を洩らす。

 司君が分からないなら直接遠回しに聞いてみようかなって思ったけど、蘭君が嫌がるならやめておこう。

 蘭君に何があったか、少しでも知れたらいいんだけどな……。

 そうしょんぼりと肩を落とす私を見て、司君は短く息を吐いた。

「蘭は、幼い頃に両親に捨てられたらしいんだ。理由は本人も分かってないみたいで、施設の出身ってだけは知ってる。……俺から言えるのはそれくらい。」

「……ありがとう、それが分かれば充分だよ。」