ヴァンパイアくんに愛されるのは危険すぎる!

「蘭君っ、離して?」

「やだ。だって離したらどっか行くでしょ。」

「い、行かないよ? でもまずは蘭君が休まなきゃ……」

「俺はいいの。確かにちょっとしんどいけど……置いてかれるよりよっぽどマシ。」

 私を逃さまいとしっかり抱きしめ、子供のように駄々をこねる蘭君。

 回されている手からは尋常じゃない熱が伝わってくるけど、汗はかいてないからやっぱりヒートブラッド病で間違いない。

 ……それにしても、どうしよう。

 一刻も早く誰かに来て助けてもらいたいけど、この状況を見られるのは……ちょっぴり嫌だ。

 特に司君には絶対……って、そんな事言ってられる状況じゃない!

 ふるふると小さく首を振ってから、蘭君を説得しようと口を開く。

「ねぇ蘭君、このままじゃ蘭君が危ないから離して? またすぐ戻るから!」

「それでも嫌。そう言って俺のことまた見捨てるんでしょ、分かってるよ。」

「み、見捨てるなんて……」

「だって離したら、もう帰ってこないじゃん。母さんたちみたいにどっかに消えるんでしょ。ならやだ。」