ヴァンパイアくんに愛されるのは危険すぎる!

 ヒートブラッド病はヴァンパイアにしか発現しない病気。かかってしまったヴァンパイアは極度に血を求め、思考もままならず本能のあるがままに行動してしまうらしい。

 見た目は完全に風邪なのに熱くないのはヒートブラッド病の特徴。蘭君の様子もいつもと違うし、そう思って間違いなさそう。

 でもヒートブラッド病の治療法は専門の病院で注射を打ってもらうしかなく、現状ここで落ち着かせる方法はない。

 だからとりあえず、蘭君を寝かせよう。

「蘭君! 今すぐ横になって休もう!」

「何で? 俺平気だよ?」

「平気ならそんなにフラフラしないよ! えっと、タオルケットとクッションがこっちに――」

「じゃあさ〜、暁ちゃんも一緒に休んでよ。」

「え? ……ちょっと蘭君!?」

 ここにはベッドがないから代わりにソファに寝かせようと、蘭君を説得していると。

 突然蘭君が私の腕を引っ張り座ったせいで、私もソファに座る事になってしまった。しかも蘭君の足の間に。

 こ、これじゃあ蘭くんを寝かせられない……!