ヴァンパイアくんに愛されるのは危険すぎる!

「それではこれで、入学式後のHRを終わります。皆さん、これから中学校生活楽しみましょう!」

 担任の若い先生が笑顔で言った後、すぐに騒がしくなる教室。

 本来ならここで近くの人に話しかけて友達を作るべきなんだろうけど、私にはやる事がある。

 そのやる事を全うする為、一人早々に帰宅準備をする。

 HRが終わったばかりだし、今から行けばヴァンパイアたちと接触できるかもしれない。

 そう思いガタッと席を立つと、突然前の席の子がグルンッと勢いよく後ろを向いて私を見上げた。

「ねぇあなた、この後暇ならわたくしとお話しない?」

「へっ? あ、でも私用事が……」

「それは急ぎの用事?」

「いや〜、それほど急ぎってわけじゃ……」

「なら平気ね! ほらほら、わたくしのお話相手になって!」

 こ、断りきれない……。

 話しかけてきたその子は私の曖昧な返事をYESと捉えたのか、半ば強引に席に座らせる。

 そして彼女は早速話を始めようとしたけど、頭の中は『早く行かなきゃヴァンパイアたちが帰っちゃう!』という焦りでいっぱいで。