ヴァンパイアくんに愛されるのは危険すぎる!

 唐突に話を振られて、「そ、そう……だ、ね?」みたいな曖昧すぎる返事をしてしまう。

 蘭君はその返事を肯定だと取ったらしく嬉しそうに笑っていて、今にも私を連れていきそう……なんだけど、何か違和感がある。

 今日の蘭君、いつもよりふわふわしてる……?

 肩に置かれた手も心なしか熱い気がするし、様子が少し違うような……。

 蘭君たちを差し置いてそう考え込んでいると、突然反対方向に腕を引かれた。

「本当に悪いけど、できない約束をしないでくれるかな。暁は俺にとっても大事だから、そう簡単に渡すわけにはいかないんだよね。」

 吐き捨てるように言い残した春君は、痛いと感じるほど私の手を握り教室の外へ出る。

「ちょ、ちょっと春君っ……!」

「わがまま言うな。……それよりももう、本当に監視対象と関わるのはやめろ。」

「でも――」

「暁。」

 つい、驚いて目を見開く。

 静かに呼ばれた名前にはありったけの怒りが込められているように感じて、反論の余地を与えてもらえない。

 そのまま私は大人しく、春君に寮まで送り届けられてしまった。

 フラフラと、明らかに様子のおかしい蘭君を置いたまま。