ヴァンパイアくんに愛されるのは危険すぎる!

 胸を張ってそう言えるのは、私が春君と同じくらい真剣だからだ。稽古も実践も手を抜いた事はないし、捕まえたヴァンパイアの数は春君より多い。

 それくらい力があるんだから、何かあったってすぐ対処できる。

 春君が思っているよりも私は……ずっと強いんだから。

「だからっ――」

「いい加減にしろよ。」

「何でそんな事――」

「なら必要最低限な関わりなんていらないだろ! 暁も兄さんみたいになりたいのかよ!」

 ……っ、春君……。

 怒りと不安を描くように机を叩いた春君に、ビクッと肩を揺らす。

 そうだ。春君がヴァンパイアと関わりたくないのは、望さんのことがあったからだ。

 すっかり頭から抜け落ちていた事実を突きつけられ、反論の言葉が体の奥に追いやられる。

 ……ううん、それでも。

「そうだよ。私、望さんみたいなハンターになりたい。」

 きっと、気持ちは曲げちゃダメだ。

 私は望さんと同じでヴァンパイアに情を抱く。だから春君のようにはなれない。

 なら、情を抱いたまま仕事をやればいいだけだ。