ヴァンパイアくんに愛されるのは危険すぎる!

「……それでさっきの話に戻るけど、どうしてまっすぐ寮に帰らなかったんだ。」

 第3校舎2階、ある一つの空き教室。周りに誰もいない事を確認してから、机に座った春君がそう切り出した。

 やっぱりか……と思ったけど、ここで取り繕っても逃げれはしない。

 それどころか得意の話術で丸め込まれそうで、春君の言いなりになる未来しか見えなかった。

 ……だからちゃんと、言わないと。

「やりたいって思った事を、やっちゃダメなの?」

「……お前何言って――」

「春君の気持ちは分かるよ、自分の立場だって。それでも私は、自分が正しいって思った事をやりたいの。それってダメ……?」

 机から降りた春君は、到底理解できないというように目を見開いた。

 いつもならここで春君にはぐらかされたり、話を逸らされたりするけど……この際はっきり言わないと分かってもらえない。

「私だって、半端な気持ちでハンターやってないよ。」

 もし春君が半端だって言うなら、いくらでも実績で差をつける。こんな事を引き合いに出すのは汚いけど、私のほうがハンターとしては実力がある。