ヴァンパイアくんに愛されるのは危険すぎる!

「見つけた……暁。」

「ぴゃっ!」

 のも、束の間。

 第3校舎に移動できる渡り廊下に着いてすぐ、背後から肩を叩かれてしまった。

 待ってもいない春君の声にびっくりして、素っ頓狂な声が飛び出る。

 心臓バクバクな私に春君は上品に笑っていて、他人事だとしか思っていなさそう。

 だから一言怒りたかったけど、時間的に今は人が多い状態。

「あっ、あの人だよ! 今日編入してきた二年の圷先輩! 遠目でもイケメンなのが分かる〜っ!」

「噂ってマジだったのかよ……クソッ、またイケメン増えるのか……。」

「壬生君たちといい勝負しそうだよね! ほんっと目の保養〜!」

 ……こんな感じで、ギャラリーが多いのなんの。

 一度嫌がらせを受けている身からしたら、もう厄介事には巻き込まれたくない。

「春君、人のいないところで話さない? ここじゃちょっと……」

「……確かにここだと面倒そうだ。」

 春君も私と同じ気持ちなのか、苦い顔でそう口にする。

 だから私たちは下手に目立たないよう、どさくさに紛れながら人気のない場所まで向かった。