ヴァンパイアくんに愛されるのは危険すぎる!

 女子だけでなく男子の羨望の声も聞こえてきて、心臓が冷える感覚に陥った。

 と、とんでもない人気だな……恐るべし壬生司。

 こんな人気を誇る彼に危害を加えたら命はなさそうだ、という直感で早々にお礼を伝える。

「た、助けていただいてありがとうございました!」

 軽い会釈をして言い逃げしようと、急ぎ気味に言葉にする。

 それに、これ以上こんな人が多いところにはいられないっ……!

 人酔いしやすい私は無我夢中でこの場から離れようと、壬生司に背中を向けた。

「待って!」

 その瞬間、背後からそんな声が聞こえたような気がして振り返るも、他の生徒がいっぱいでもう姿はなくて。

 気のせいだったのかな?なんて思う事にして、私は近くの自販機に水を買いに走った。

「……まさかもう新しい“監視役”が入ったなんて、仕事が早いな。」

 私が離れた後、すっかり人に囲まれてしまった壬生司がそんな事を呟く。

 そんな彼の右手の指先は、ピリピリとした赤い電流が纏われていた。