ヴァンパイアくんに愛されるのは危険すぎる!

 それもそのはず、まだ頭の中に昨日の出来事がしっかり残っている。一晩寝ただけで忘れられるはずもなく、5分に一度はため息を吐いていた。

 はぁ……今日から春君も有明学園で過ごすんだよね。じゃあもう、あの部屋には行けないかもしれない。

 無事春君が編入できたのは良い事だし待ちわびていたはずなのに、心から喜べない。

 でも学年が違うからまだ気は楽なのが、不幸中の幸いかな……。

 どよーんとした気持ちのまま準備を済ませ、朝食もそこそこに傘を持って寮を出た。

 ……のに。

「おはよ暁、今日はいい天気だな。」

「ハンターにとっては、だけどね。……それよりも何で春君が女子寮の前にいるの?」

「そりゃお前を待ってたからに決まってるだろ。」

 何を当たり前な事を、みたいに言われても……。

 正直、春君に会いたくなかったから早めに寮出たんだけど……それも読まれてたのかな。

 春君ってこういう時怖いよなぁと思いつつ、「……そっか。」と納得してない返事をして春君の横を通り過ぎる。

 するとすぐに隣を陣取って、ムスッとしている私に声をかけてきた。