ヴァンパイアくんに愛されるのは危険すぎる!

 こんなに綺麗な月夜はなかなかない……そう思えるくらい、見惚れる夜。

 その空の下、本当ならほうっと呆けて眺めていたいけど……それを許してくれない人が目の前にいる。

 男子寮の影になっている場所で私を地べたに座らせた張本人、春君だ。

「おい暁、お前本当にハンターの自覚あるのか?」

「あ、あります……!」

「じゃあどうして監視対象の、しかも一番危険だって言われている壬生司と一緒にいた?」

「そ、それはっ……えっと、その……」

「言えないって事はバレたくない事をしてた、って解釈するけど。」

 春君、目が怖い……。

 厳しい意見の春君にビビってしまうけど、言われっぱなしも癪だ。

 でもどう説明しよう……言えない事をしてたわけじゃないけど、きっと『隙を見せるなって言っただろ!』と怒られるだろうし。

 かと言って嘘を吐こうにも思いつかないし、春君に隠し事は通用しない。

 ならどうすれば、と萎縮している思考を何とか巡らせ打開策を考える。

 けどそんな私を見かねた春君が、盛大にため息を吐いて腕を組んだ。