ヴァンパイアくんに愛されるのは危険すぎる!

 良くも悪くも人間臭くて、司君は私のことを目が離せないと言うど、司君も相当目が離せない。

 ……薄情よりは全然いいと思うけどっ。

 だけど、やっぱりというか望さんのことは教えてくれなかった。

 言いたくないのか私が知っていると思っているのか、司君の真意は分からない。

『ごめん、なさい……っ……』

 でも以前、うなされてた時も謝ってた。司君も司君で追い込みやすいタイプだ。

 いつかは本人の口から聞きたいけど、無理には聞けない。

 ……いつか、なんて思う事自体甘いんだろうけど。

「暁? ぼーっとしてどうしたの?」

「……、ううん。今行くっ。」

 玄関を開けて待ってくれている司君に軽い返事をし、荷物を持って向かう。

 夜だからか外はすっかり涼しく、司君の綺麗な容姿と白髪が映える。やっぱりヴァンパイアは月と夜空が様になるなぁ。

 そんな事を考えつつローファーを履き、静かな風に吹かれて外に出る。

 ……――その瞬間だった。

「編入早々捕まえたヴァンパイアの報告とか……しかも父さんのどうでもいい話とか興味ない…………って」