ヴァンパイアくんに愛されるのは危険すぎる!

 ……よし、監視対象の把握はできた。ひと目見てれば今後の学校生活で見つけやすいだろうし、何があったってきっと対処できる。

 相変わらず騒がしい人混みの中、仕事の1つを終わらせられた事にほっと安堵した。

 その時不意に人混みの中の誰かとぶつかってしまい、わっと前のめりになる。

 やばい、転んじゃう……!

 そう思ってすぐに体制を立て直そうとするも、時すでに遅しで地面が顔面に直撃――。

「……っと、大丈夫?」

 するかと思いきや、頭上の声と共に誰かに受け止められた感覚が。

 だ、誰かが助けてくれたのかな……?

 反射的に瞑っていた目を恐る恐る開け、助けてくれたであろう人を確認する。

 すると視界に飛び込んできたのは、紛れもない……さっきまで偵察していた、壬生司だった。

 視界いっぱいに彼の綺麗な顔が広がり、今度こそ体制を立て直す。

 この状況に周りはもちろん、一斉に騒ぎ出した。

「壬生君に助けてもらえるなんて羨ましい〜っ!」

「あたしも一度でいいから壬生君に触れてみたい……ずるい!」

「俺も! 俺も壬生に抱きとめられてぇ!」