足りないよ、白山くん。


「じゃあまずは化学からやろっか」

「うん」


問題集を開いて、いつものように勉強を始める。

白山くんは教えてくれるって言ってくれてたけど、最初の方はお互い集中して取り組む。


途中で分からない部分を聞くと、丁寧に教えてくれた。


「これは、この値をーー」


私の横で一生懸命説明してくれている姿は、普段と違って真面目で。

学校の人達は、きっとこんな白山くんを知らないって考えたら

ちょっとだけ自分が他の人より知れてる部分が多いって感じることがてきて…嬉しい。


学校での白山くんと、家での白山くん。

真反対な雰囲気で最初は驚いたけど、優しいことには変わりなかった。



「少し休憩しよっか」

「そうだね」


1時間ほど経ったとき、白山くんが提案してくれた。