足りないよ、白山くん。


「雫もぎゅってして?」

「う、うん…」


言われた通り、白山くんの背中に手を回す。


「ん、いい子」


すると白山くんは、さらに抱きしめる力を強くして私の腰を引く。


「ひゃっ……んむ…!しらやまく…くるし」


私の顔がちょうど白山くんの胸辺りにきていて苦しい。

でも白山くんの優しい匂い、安心するな……



それに…意外と大きな体。

今までは、すらっとした体型で痩せてるなーって思っていたけど。

私を包み込むくらい大きい胴体とか、引き寄せる手つきとか力とか。

ちゃんと男の人なんだなって…


話し方とかはふわふわしてるけど…そう考えてしまうと心臓が変にドキドキしちゃう……


って、わぁーーーー!


白山くんはクラスメイトで友達…!!

私はただの抱き枕…!


そうやって自分に言い聞かせて、騒ぐ心を落ち着かせる。


「おやすみ、雫」